ガバナンス強化も課題

 「コロナ下で黒字にするのは難しい」。慶応ラグビー倶楽部の専務理事を務める山桜(東京・中央)の市瀬豊和社長らは危機感を募らせてきた。倶楽部では今後、慶応大のラグビーの人材を活用したスポーツスクールなどにも注力しながら資金を得ていく。

 強豪チームであるほど指導体制の充実にはコストがかかるため、有力とされるチームにとって支援法人を設立する意味は大きくなる。20年8月には日本を代表するサッカー選手、長友佑都選手の母校である明治大学では、サッカー部を支援する法人が設立された。グッズを販売し、サポーターズクラブを運営する。

 大学スポーツを支援する法人に関心が高まるもう一つの理由は、運動部のガバナンス強化につながる面があるからだ。

 京大アメフト部は16年に支援法人を設立したことにより、スポンサー10社以上から資金を得て、予算規模が2倍程度の年5000万~6000万円になった。支援法人の三輪誠司代表理事は「企業の支援を受けるために、日ごろの振る舞いや交流サイトの使い方に至るまで、選手のためにコンプライアンス研修を実施している」と話す。

 法人を設けると、監督ら個人の名義で銀行口座を開くのではなく、法人の口座となり資金の流れが明確になることなどによっても、ガバナンス改善につながると見込まれる。

 大学スポーツの世界は、実力を高めるために指導者をそろえたり、データ分析を進めたりと資金がますます必要になっている。運営体制を法人化し、選手らチームと二人三脚で活躍を目指す動きが強まりそうだ。

日経ビジネス2021年4月26日号 17ページより目次

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