世界的な法人税率の引き下げ競争をけん引してきた英政府が、2023年に半世紀ぶりの増税に踏み切る。新型コロナウイルスの感染拡大による財政悪化と経済格差の拡大から、法人増税による財政再建は不可避に。米バイデン政権は主要20カ国での最低税率導入に意欲を示すが、外資依存の国もあり国際協調は容易ではない。

これまで一貫して法人減税を進めてきた
●英国の法人税率の推移
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スナク英財務相は3月、50年ぶりの法人増税を発表した(写真=上:AP/アフロ)

 世界的な法人税率の引き下げ競争が大きな転換点を迎えている。先陣を切ったのは英国だ。3月に、現行19%の法人税率を2023年から25%に引き上げると発表した。主な対象は、年間利益が25万ポンド(約3800万円)以上の大企業で、それ未満の企業は現行税率が維持される。英産業連盟(CBI)のトニー・ダンカー事務局長は法人増税について、「英国に投資する企業に憂慮すべきシグナルを送っている」と批判した。

 英国は1970年代から世界的な法人税率の引き下げ競争をけん引してきた。海外企業を誘致し企業活動を盛んにすることで減収をカバーする狙いがあった。英語圏であるうえ金融サービスが充実しているという背景もあり、多くのグローバル企業が英国に拠点を置き、戦略は一面では成功だった。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で財政が急速に悪化している。休業を余儀なくされた飲食店の従業員への所得保障などで財政支出が急増。2020年度に政府の債務残高が国内総生産(GDP)の100%を超え、今後も悪化する見通しだ。

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