日立製作所が約53%出資する日立金属の最有力の売却先候補に米ベインキャピタルなどを選んだことが分かった。売却交渉が本格化した昨夏に有力な売却先と期待されていたのが日本製鉄だ。鉄鋼需要減や脱炭素の逆風によって構造改革を急がざるを得ず、M&A(合併・買収)に参加する余裕がなくなった。

<span class="fontBold">日立金属は自動車や航空機向けに特殊鋼や磁石など多様な素材を製造する</span>(写真=背景:日刊工業新聞/共同通信イメージズ)
日立金属は自動車や航空機向けに特殊鋼や磁石など多様な素材を製造する(写真=背景:日刊工業新聞/共同通信イメージズ)

 日立製作所はベインと同じく投資ファンドである日本産業パートナーズ(JIP)などとの企業連合に優先交渉権を与え、売却額を詰める方針だ。日立本体との相乗効果が期待しにくいと判断し、売却先を探していた。

 新型コロナウイルスによる航空機向け部材の需要減などで日立金属の2021年3月期は460億円の連結最終赤字に沈む見通し。ただ、特殊鋼や磁性材料など優れた高機能材料が多く、「ノンコアの事業売却で選択と集中をすれば業績は回復する」(証券アナリスト)との見方は少なくない。

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