3月に発生した工場火災で、出荷量の回復まで3~4カ月かかる見通しとルネサスエレクトロニクスが発表。昨年から続く半導体の供給不安に追い打ちがかかった自動車メーカーは対応に奔走している。不幸な事故が重なった「偶然」は、行き過ぎた効率化の課題をあらためて突き付けた。

ルネサスエレクトロニクスの那珂工場で発生した火災では23台の装置が使えなくなった(左)。SUBARUは半導体不足により矢島工場で1万台減産する(右)(写真=共同通信)

 「呪われているとしか思えない」。半導体大手ルネサスエレクトロニクスの主力生産拠点、那珂工場(茨城県ひたちなか市)の火災の報に触れた大手自動車メーカー関係者は肩を落とした。火災の影響を受ける半導体の3分の2は自動車向け。自動車関係者にとって頭が痛い時期が続く。

 3月19日の火災発生後、2度目となる30日の会見に臨んだルネサスの柴田英利社長は、火災発生から30日後に生産を再開する方針を強調した。火災によるすすや腐食で使えなくなった23台の製造装置の代替品を調達し、クリーンルームの清掃なども並行して進めて再開に備える。ただし、火災発生前の出荷量に戻るのは火災発生から90~120日後の見込み。半導体受託生産企業による代替生産品の出荷が始まるのも90日後以降の見通しだ。ルネサスの半導体を使う自動車各社への影響は避けられそうにない。

旭化成子会社に続いて火災

 まさに「泣きっ面に蜂」だった。旭化成の半導体子会社の工場で火災が発生したのを皮切りに、米テキサス州の大寒波による停電で車載半導体大手のオランダNXPセミコンダクターズ、独インフィニオンテクノロジーズの工場が稼働を停止した。

 そんな折に発生したルネサスの火災で、自動車産業は蜂の巣をつついたような大騒ぎとなった。もともと半導体不足の影響で一部の製品の供給が遅れていた日産自動車は、ルネサスの火災を受けて「減産の検討に入った」(日産)。自動車部品大手のデンソーとアイシンは「影響を確認中」という。運転支援システムなどを手掛ける日立アステモは足元の需要こそ在庫でしのげているが、今後の影響を精査している。

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