サプライチェーン・ファイナンスを手掛けてきた英国のグリーンシル・キャピタルが破綻した。売掛債権を土台にしたリスク資産の査定の甘さが引き金となり、同社自身の資金繰りに窮した。資金供給を受けてきた企業の連鎖倒産につながる恐れがあり、日本企業にとっても決して対岸の火事ではない。

ドイツ・ブレーメンにあるグリーンシル銀行子会社(左)。グリーンシルはSCFを主事業として急成長した(写真= 左上・右下:ユニフォトプレス、左下:AFP/アフロ、右上:AP/アフロ)

 英金融サービス会社グリーンシル・キャピタルの経営破綻が波紋を広げている。英国のジョンソン政権は、同社が資金を融通していた鉄鋼系企業などと継続的に接触を図る。隣国フランスのブルーノ・ルメール経済・財務相も「影響を受ける生産拠点を支援したい」と、危機感をあらわにした。

 グリーンシルにとって最大の資金供給先だったGFGアライアンスは、傘下に英鉄鋼3位のリバティ・スチールを抱え、世界30カ国で3万5000人以上の雇用の受け皿になってきた。コロナ禍の折、政治家を含め関係者は一様に資金ショートと連鎖倒産の拡大を懸念。現状ではどうやら、「いち金融会社の破綻」ではとどまりそうにない。

 ただ今回の騒動で先行きへの不安が増しつつも、事の重大さへの理解が広がらないのは、グリーンシルの資金融通の仕組みにも起因する。「サプライチェーン・ファイナンス(SCF)」。この言葉に金融関係者以外、即座にピンとくる人がどれぐらいいるだろう。

証券化でリスク見えにくく

 一般に、企業の商取引は一定期間内での取引額をまとめる「掛」での取引が主流だ。実際にお金を支払う・受け取るという決済と、取引の間には時間差が生じる。グリーンシルはこの差を使い、請求書をはじめとした売掛債権を同社でいったん買い取ることを生業としてきた。企業側にしてみれば支払資金の繰り延べにつなげることができたり、反対に期日前の早期受け取りが可能になったりする。米シティグループやモルガン・スタンレーでキャリアを積んだレックス・グリーンシル氏が2011年に創業した同社は、この事業で急成長を遂げた。

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