この記事は日経ビジネス電子版に『背水の製鉄能力2割削減、日本製鉄が挑む2つの難題』(3月8日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』3月15日号に掲載するものです。

日本製鉄が国内粗鋼生産能力を2割減らす生産再構築を柱とする経営計画を発表した。国内を縮小する一方、海外を強化して長期的に世界生産能力1億トンを目指す。生産網の立て直しと製鉄技術の革新に同時に挑む「綱渡りの構造改革」は成功するか。

<span class="fontBold">日本製鉄は脱炭素に向けて新たな製鉄技術の開発を急ぐ</span>
日本製鉄は脱炭素に向けて新たな製鉄技術の開発を急ぐ

 「ゼロカーボン・スチールに挑み、ライバルより先に技術を確立する」。3月5日に経営計画を発表した日本製鉄の橋本英二社長は、2050年のカーボンニュートラル実現を経営の最重要課題として取り組むと宣言した。その華々しい宣言の裏には、鉄鋼最大手の欧州アルセロール・ミタルに突き放され、世界の粗鋼生産の6割を握るまでになった中国鉄鋼メーカーに顧客を奪われる厳しい現実がある。

 日鉄は東日本製鉄所鹿島地区(茨城県鹿嶋市)の高炉1基を25年3月までに休止することを決めた。製鉄所の中核設備である高炉の数は国内で15基だったが、26年3月までに10基に絞り込む。これに合わせて国内の粗鋼生産能力は年5000万トンから4000万トンに減る。協力会社を含め合計1万人の人員削減も進める。「内需の減少に加えて、輸出でも採算が取れない厳しい状況が続く」。国内の生産規模縮小を決断した理由を橋本社長はこう明かした。

 国内の粗鋼需要は減少の一途をたどり、20年の国内全体の粗鋼生産量は約8300万トンと51年ぶりの低水準となった。これまで日鉄は生産規模を何とか維持してきたが、中国勢の圧倒的な価格競争力を前に、国内で生産した粗鋼を海外の下工程(圧延工程)拠点に輸出して最終製品に加工するビジネスモデルが立ち行かなくなった。「国内製鉄事業の再構築は25年度までにやり遂げる。そうでないと他の計画をやり遂げられない」。橋本社長は背水の陣を敷いて構造改革に挑む。

続きを読む 2/2 海外はM&Aで成長狙う

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