スウェーデンの高級車大手ボルボ・カーが、2030年までに新車の全てを電気自動車(EV)にすると発表した。同時に、全てのEVをオンライン販売に切り替え、30年までにディーラー経由の販売がなくなるという。米テスラのような新興企業ではない既存メーカーの大胆な戦略は、自動車業界にさらなる転換を迫りそうだ。

ボルボ・カーのサミュエルソン社長(写真上)と新型EV「C40」(同下)(写真=上:AP/アフロ)
注:ZEVとは排ガスを出さないEVや燃料電池車などのこと。ダイムラーとVWの目標は、CO₂を実質的に排出しない車への全面移行の時期としている

 産業の激変期において、固定ファンを持つブランドは攻めるべきか守るべきか──。スウェーデンのボルボ・カーは、攻めの姿勢を鮮明にした。

 同社は3月2日、2030年までに全ての新車販売を電気自動車(EV)に切り替えると発表した。これまで25年までに新車販売の半分をEVにするとしていたが、完全EV化の時期を明確にした。ホーカン・サミュエルソン社長は「急成長するプレミアムEVにおいて、我々はリーダーになることに完全に集中する」と述べた。

 世界的な二酸化炭素(CO₂)排出規制の流れを受け、EV強化を訴えるメーカーが増えているが、ここまで退路を断つ戦略を打ち出すケースは珍しい。

 英ジャガー・ランドローバー(JLR)は、25年からジャガーをEV専業ブランドにすると発表したが、JLR全体ではエンジン車の販売をやめるのは36年の方針。米フォード・モーターはボルボと同様の発表をしたものの、対象は欧州での新車のみ。米ゼネラル・モーターズ(GM)は35年までに全ての新車販売を排ガスを出さない車(ZEV)にすると宣言している。

 独フォルクスワーゲン(VW)は5日、30年までに欧州の新車販売に占めるEVの比率を従来の35%から70%に引き上げると発表した。ただ様々な地域で多くの車種を販売しているため、実質的にCO₂を排出しない車への完全移行は、50年までが目標だ。

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