シャープが潮目を変えた
潮目が変わったのは15年。シャープが1200億円超の資本金を1億円に減資することを経営再建案に盛り込もうとしたことがきっかけだった。
中小企業向けの優遇措置を大企業が活用しようとしたことに対し、当時の宮沢洋一経済産業相が「企業再生としては違和感がある」と指摘するなど批判が噴出。計画は断念に追い込まれた。しかし、シャープの減資報道は一種のアナウンスメント効果になった。大手企業も活用を検討したことで、選択肢の一つになり得ると認知された。
そこで起こったのが新型コロナの感染拡大。外食や航空、旅行の業界が大打撃を受け、ネット上では「生き残るためには仕方ない」「法律に違反しているわけではない」といった擁護の声が相次ぐ。政治家からも目立った批判の声は上がらない。世論の忌避感は薄れ、減資が今後も相次ぐ可能性はある。
減資は日本の税制のゆがみも浮き彫りにした。外形標準課税は行政サービスを受けている以上、赤字企業も税を負担すべきという考え方に基づいてできた制度。大企業はより多くの社会インフラを享受しており、その分の納税義務も負うのが本来の姿といえる。
未曽有の危機下で雇用を守り、社会を維持していくためにはやむを得ない緊急措置もあるだろう。だが、コロナ後には何らかの歯止めが必要ではないだろうか。
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6/20ウェビナー開催、「『AIバブル』の落とし穴 ChatGPTリスクとどう向き合う」

近年、ChatGPTをはじめとする生成AI(人工知能)の進化と普及が急速に進み、私たちの生活やビジネスに革新をもたらしています。しかし、注意が必要なリスクも存在します。AIが誤った情報を生成する可能性や倫理的な問題、プライバシーの侵害などが懸念されます。
生成AIの利点をどのように理解し、想定されるリスクに対してどのように対処するか。日経ビジネスは6月20日(火)に「『AIバブル』の落とし穴 ChatGPTリスクとどう向き合う」と題したウェビナーを開催します。日経ビジネス電子版にて「『AI新時代』の落とし穴」を連載中の米シリコンバレーのスタートアップ企業、ロバストインテリジェンスの大柴行人氏を講師に迎えて講演していただきます。
通常の日経ビジネスLIVEは午後7時に開催していますが、今回は6月20日(火)の正午から「日経ビジネス LUNCH LIVE」として、米シリコンバレーからの生配信でお届けします。ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。
■テーマ:「AIバブル」の落とし穴 ChatGPTリスクとどう向き合う
■日程:6月20日(火)12:00~13:00(予定)
■講師:大柴 行人氏(ロバストインテリジェンス共同創業者)
■モデレーター:島津 翔(日経BPシリコンバレー支局 記者)
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス、日経クロステック、日経クロストレンド
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員は無料となります(事前登録制、先着順)。視聴希望でまだ有料会員でない方は、会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)
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