シャープが潮目を変えた

 潮目が変わったのは15年。シャープが1200億円超の資本金を1億円に減資することを経営再建案に盛り込もうとしたことがきっかけだった。

 中小企業向けの優遇措置を大企業が活用しようとしたことに対し、当時の宮沢洋一経済産業相が「企業再生としては違和感がある」と指摘するなど批判が噴出。計画は断念に追い込まれた。しかし、シャープの減資報道は一種のアナウンスメント効果になった。大手企業も活用を検討したことで、選択肢の一つになり得ると認知された。

 そこで起こったのが新型コロナの感染拡大。外食や航空、旅行の業界が大打撃を受け、ネット上では「生き残るためには仕方ない」「法律に違反しているわけではない」といった擁護の声が相次ぐ。政治家からも目立った批判の声は上がらない。世論の忌避感は薄れ、減資が今後も相次ぐ可能性はある。

 減資は日本の税制のゆがみも浮き彫りにした。外形標準課税は行政サービスを受けている以上、赤字企業も税を負担すべきという考え方に基づいてできた制度。大企業はより多くの社会インフラを享受しており、その分の納税義務も負うのが本来の姿といえる。

 未曽有の危機下で雇用を守り、社会を維持していくためにはやむを得ない緊急措置もあるだろう。だが、コロナ後には何らかの歯止めが必要ではないだろうか。

日経ビジネス2021年3月8日号 17ページより目次
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