この記事は日経ビジネス電子版に『ミャンマーのクーデター、日系企業に広がる戸惑いと失望』(2月15日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』2月22日号に掲載するものです。

国軍によるクーデターが起きたミャンマー。反発する国民は職場を放棄し、路上に出て怒りの声を上げている。混沌の中、多くの日系製造業が工場の稼働停止を余儀なくされた。「明日の見通しすら立たない」という。長期的な成長を期待し、日系企業は苦闘してきた。今回のクーデターはその努力を踏みにじった。

国軍に反発し、拘束されているスー・チー国家顧問の解放を求めて抗議するヤンゴン市民(写真=AP/アフロ)

 2月1日に発生した国軍によるクーデターが、ミャンマーで事業展開する日系企業を危機に追いやった。

 国民の多くが軍の行為に強く反発し、抗議デモが全土で激化している。首都ネピドーや大都市のヤンゴン、マンダレーを中心に、毎日数十万人が抗議デモに参加していると報道されている。

民政移管で日本企業の進出が進んだ
●ミャンマーの主な動き

 国軍トップのミン・アウン・フライン総司令官は8日、国軍系テレビで憲法を尊重することや、新型コロナウイルスで低迷した経済を立て直すことなどを約束したが、人々はこれに「CDM(Civil Disobedience Movement、市民の不服従運動)」で応えている。

 社会や経済を立ち行かなくすることで、国軍を揺さぶろうとする運動だ。職場を離れて抗議デモに参加する動きが医療機関や政府関連機関、警察や民間企業にいたるまで広がっており、現地紙によれば社会や経済はまひし始めているという。

 クーデターが発生して以降、日系企業は目まぐるしく変わる状況への対応に追われた。抗議デモが始まった6日前後から、多くの企業が工場の稼働を見合わせることを余儀なくされた。これまでにスズキやデンソー、ヤクルト本社などが操業を一時停止している。日系企業が多く集積するヤンゴン近郊のティラワ経済特区(SEZ)の関係者によれば、11日の時点で入居企業の約半数が工場の操業を止めたという。「状況が不透明で再開時期も判断できない」。多くの日系企業関係者がこう語る。

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