この記事は日経ビジネス電子版に『新型コロナで露呈したワクチン後進国、日本の現状』(2月9日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』2月15日号に掲載するものです。

米ファイザーの新型コロナウイルス向けワクチンが、日本でも行政手続きを経て実用化される時期が近づいた。ファイザーをはじめ話題に上るのは海外企業のワクチンばかりだ。国産ワクチンはなぜ出てこないのだろうか。日本企業の影が薄い理由を探ると、長年にわたって幾つもの課題を構造的に抱えていることが分かる。

米モデルナは米政府と2億回分の供給契約を結んだ(写真=AP/アフロ)

 「ワクチン後進国」。2005~06年ごろ、日本はこう呼ばれていた。1989年から2006年までに新しく日本で承認されたワクチンは、1995年の不活化A型肝炎ワクチンなど2製品しかない。この間、欧米では新しいワクチンが20種類前後登場し、海外との差は「ワクチンギャップ」といわれた。

 87年に米国で承認されたヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンが日本で承認されたのは20年後の2007年だ。Hib感染症は主に5歳未満の乳幼児が発症し、重篤化して髄膜炎などを生じることもある。なぜ20年間も遅延したのか。

 最大の理由は国に明確な政策がなかったことだ。どの感染症を警戒すべきで、どういうワクチンを研究すべきだという羅針盤がなく、メーカーはリスクを取ることをためらった。

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