経団連が1月26日に「労使フォーラム」を開き、2021年の春季労使交渉がスタートした。「一律の賃金引き上げは現実的ではない」。経営側の指針からは「官製賃上げ」の終わりが見えてくる。個別の賃上げとともに議題になるのは「ジョブ型」雇用への転換だが、拙速な導入には危うさも伴う。

 「業種横並びや各社一律の賃金引き上げは現実的ではない」。経団連が1月19日にまとめた、2021年春季労使交渉(春闘)に臨む経営側の指針「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)。そこからにじみ出るのは、第2次安倍晋三政権で続いた「官製賃上げ」からの転換というメッセージだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大で航空や旅行、外食などの業種が大きな打撃を受ける中、経団連は「業績が悪化する企業では賃金水準の引き上げ(ベア)の実施は困難である」と明記。「個々の企業の実情に適した賃金決定が必要」とし、方針を初めて業績ごとに示した。連合は「2%程度の賃上げ」を要求する方針を示しているが、横並びでの賃上げは厳しい情勢だ。

経団連の中西宏明会長は12日のオンライン会見で「賃金の引き上げが可能な企業や業界は少ないのではないか」と話した(写真=共同通信)

 その中で議論が深まりそうなのが、職務(ジョブ)を明示してそれを遂行できる人材を充てる、いわゆる「ジョブ型」雇用の導入だ。経団連は経労委報告で、業績が好調な企業については「職務等級や資格、成果など個人の貢献度に応じた賃上げが適切である」と、社内でも一律にならないよう提言した。

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