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NTTドコモに続いてソフトバンクも携帯電話サービスの低料金プランを打ち出した。KDDIも1月中に値下げを発表し、3社がそろって3月から提供を始める見通し。大手3社による寡占が進み、これまで目指してきた市場競争による値下げが期待しにくくなる。

 「これが公正な競争環境と言えるのか」。通信大手から回線を借りて提供する仮想移動体通信事業者(MVNO)の1社の幹部は苦々しげに話す。

 ソフトバンクは2020年12月22日、携帯電話サービスの新ブランド「SoftBank on LINE」(仮称)を発表した。料金はNTTドコモが同月3日に発表した「ahamo(アハモ)」と同じ2980円(税別、以下同)。データ容量が20ギガ(ギガは10億)バイトで、4Gだけでなく次世代通信規格「5G」に対応するのも同じだ。いずれも21年3月に開始する。1月中に新料金プランを発表する予定のKDDIも、対抗して同水準まで下げるのは確実とみられている。

 菅義偉政権からのプレッシャーで料金値下げに追い込まれたかに見える通信大手だが、裏にはしたたかな戦略が潜む。「料金値下げによる減収影響は各社1000億円前後に達するが、実際の減収幅は350億円程度にとどまる」と試算するのは野村証券の増野大作アナリスト。低料金プランの新設でドコモとソフトバンクともに100万~150万の新規ユーザーを獲得できるとみる。

 割を食うのが、低料金を売りにしてきた楽天モバイルやMVNOだ。楽天は2980円でデータ容量が無制限だが、通信エリアが狭いなど品質で大手3社に劣る。MVNO各社の料金プランは20ギガバイトで4000円前後。あるMVNOは「大手3社は我々に対して通信回線を原価で提供していると言うが、その価格で通信品質を確保しようとすると月額2980円では採算が合わない。(社内向けに)別の計算式があるのではないか」と不信感を口にする。