この記事は日経ビジネス電子版に『ファイザーが日本でも承認申請、国産ワクチンの実用化には壁』(12月21日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』2020年12月28日・2021年1月4日号に掲載するものです。

米ファイザーと独ビオンテックは、新型コロナウイルスの予防ワクチンを日本でも承認申請した。日本企業ではアンジェスに続いて塩野義製薬が12月16日に臨床試験を始めたと発表。第一三共などが後を追う。ただ、これで疫病をすぐに封じ込められるわけではない。日本企業には臨床試験が大きな課題となっている。

<span class="fontBold">米国で接種が始まったファイザーのワクチン。英国でも使い始めている</span>
米国で接種が始まったファイザーのワクチン。英国でも使い始めている

 ファイザーとビオンテックが開発したワクチンは約4万人を対象に行ったグローバルの大規模比較試験で、95%の発症予防効果を示した。痛みや疲労などの副反応は一定頻度で見られたが、臨床試験段階では重篤なものは報告されていない。

 ただ、日本の審査当局は慎重だ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大の程度や重症化率が国・地域によって大きく異なることなどから、日本人に対する安全性と、免疫誘導を確認するための国内での臨床試験を求めている。

 ファイザーとビオンテックは現在、日本で臨床試験を行っており、2021年2月までに主要な結果がまとまるとしている。今後、この結果も交えて承認の可否が判断され、接種が開始されることになりそうだ。

 一方、国内企業によるワクチンの開発も進んでいる。12月16日には塩野義製薬がCOVID-19の予防ワクチンの臨床試験を開始したと発表した。200人程度の健常な成人に接種し、安全性や免疫を誘導できるかなどを確認する。

 国内企業でワクチンの臨床試験を始めるのはアンジェスに次いで2社目。アンジェスは10月に30人を対象とする最初の臨床試験を終え、12月8日から500人対象の臨床試験を開始した。

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