新型コロナウイルスの感染拡大「第3波」が、秋の行楽シーズン真っただ中を襲っている。だが、ひとたび緩んだ緊張を引き締め直すことは難しく、3連休は「密」になる行楽地が相次いだ。政府は「Go To キャンペーン」の見直しなどで対応を図るが、このままでは病床も人手も逼迫しかねない。

秋の3連休中日の11月22日、東京湾を臨む若洲海浜公園(東京・江東)の釣り場は家族連れでごった返していた。釣り人はマスクこそしているが2m間隔の「ソーシャルディスタンス」などお構いなし。「これだけ『密』だと魚も釣れない」──。気にするのは感染リスクより釣果といったありさまだ。
同じ日、神奈川県伊勢原市。小田急電鉄の伊勢原駅から大山ケーブルの出発駅に向かうバス車内は登山客でぎゅうぎゅう詰めだった。民間調査会社のデータなどによると、関東近郊の観光地への21〜23日の人の動きは9月の4連休と比べて相次ぎ大幅増となった。連休初日に国内感染者が2595人と過去最多を記録する「第3波」が襲う中、日本医師会の中川俊男会長は「我慢の3連休を」と訴えていたが、「コロナ慣れ」した人々には響かなかったようだ。
「ひとたびクラスターが発生すると、感染者数が大きく増える。極めて瀬戸際の状況だ」。北海道の鈴木直道知事は11月17日、そう訴えた。その後の一週間、人口10万人当たりの新規感染者数は32人と他の都府県を上回る水準で推移。「夏ごろはウイルスを抑え込んでいたが、人の移動が活発になり東京など本州から持ち込まれ、接待を伴う飲食店から居酒屋、職場、病院、高齢者施設へと広がった」(札幌医科大学の横田伸一教授)とみられている。
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