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米アップルがアプリの開発者に課している30%の配信手数料を引き下げると発表した。ただし、対象とするのは年間の販売額が100万ドル以下の事業者や個人のみ。支払いの代替手段を認めないまま批判をかわそうとするアップルには反発が続きそうだ。

 「アップルとしては痛みが少ない施策だ。やらないよりはやった方がいい程度であり、世論の風向きを変えるまでにはいかないのではないか」。独占禁止法に詳しい池田・染谷法律事務所の池田毅弁護士は、アップルが打ち出したアプリ配信手数料の引き下げについてこう話す。

 アップルは、アプリ配信サービス「アップストア」を通じたアプリの販売やアプリ内課金の30%を手数料として徴収してきた。これに反旗を翻したのが、人気ゲーム「フォートナイト」を手掛ける米エピックゲームズ。8月に独自の課金システムを導入したところアップルが配信を停止したため、アップルの課金システムが独占的だとして米カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に提訴した。

 7月に米議会下院の司法委員会がアップルや米グーグルなど「GAFA」4社のCEO(最高経営責任者)を呼んで反トラスト法をめぐる公聴会を開くなど、プラットフォーマーの「独占」に注目が集まっているさなかに繰り出した反撃だった。エピックはグーグルに対しても同様の訴訟を起こしたほか、音楽配信のスポティファイ・テクノロジー(スウェーデン)などと組んでアプリ配信の改善を求める団体を結成した。

 アップルが11月18日に打ち出したのは、2021年1月以降、年間のアプリ販売額が100万ドル(1億円強)以下の事業者や個人に課す手数料を従来の半分となる15%にすること。裾野が広い開発者からの賛同を取りつけて批判をかわす狙いがあるとみられる。