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パナソニックが2021年6月に楠見雄規常務執行役員を社長に昇格させる人事を発表した。吸収した三洋電機とパナソニック電工との融合を進めた津賀一宏社長が目指した成長路線への転換は道半ば。外部人材の登用も進めて社風の変革にも挑んできたが、最終的に頼ったのは「本流」出身者だった。

新社長の楠見雄規氏(右)は津賀一宏氏(左)と重なる経歴が多い(写真=共同通信)

 「また本流の出身者か」。新社長に内定したパナソニックの楠見雄規氏の前に立ちはだかるのは、社内外からのこんな印象だ。

 津賀一宏氏が社長に就任したのは2012年6月。パナソニックが三洋電機とパナソニック電工を完全子会社化し、組織改編を終えた直後だった。以来、津賀氏は「電産」「電工」「三洋」の旧来の組織の壁を壊し、統合効果を出すことに力を注いできた。旧三洋電機が手掛けていた車載用角形電池を成長の柱と位置付けたり、旧パナソニック電工の住宅設備事業が生かせる「空間ソリューション」を基幹事業と呼んだりしてきた。

 「結果として会社全体の見える化が進んだ」とこれまでの在任期間を振り返った津賀氏だが、「収益を伴う成長が簡単でないことも学んだ」とも悔やむ。寄せ集めだった多数の事業のなかで低収益なものを「もぐらたたき」(津賀氏)のように構造改革するのに手いっぱいで、成長事業と位置付けた車載関連事業や企業向け事業の収益は伸び悩んだ。