三菱重工業は国産初の小型ジェット旅客機「三菱スペースジェット(MSJ)」事業を事実上凍結する方針を明らかにした。初号機の納期をこれまでに6度延期しており、新型コロナウイルスによる航空機需要の消失が追い打ちをかけた。完成機開発の取りまとめや型式証明(TC)取得は確かに難しい作業だ。だが背後におごりがなかったと言えるだろうか。

「いったん立ち止まり、再開のための事業環境整備に取り組む。市場回復をしっかり見て、それ以降の事業展開は状況次第だ」。10月30日の説明会で泉沢清次社長はスペースジェット事業からの撤退の可能性を問われ、慎重に言葉を選びながら答えた。
2024年3月期までの3年間の開発費は200億円と、直前3年間の3700億円から95%削減する。「開発作業は大幅スローダウンする。飛行試験に基づくTC取得作業は進める」と泉沢氏は話した。三菱重工幹部は「これだけ少ない予算だとTC取得に欠かせない米国での試験飛行は無理だし、量産準備もできない。事業凍結と言われても仕方がない」と解説する。
[コメント投稿]記事対する自分の意見を書き込もう
記事の内容やRaiseの議論に対して、意見や見解をコメントとして書き込むことができます。記事の下部に表示されるコメント欄に書き込むとすぐに自分のコメントが表示されます。コメントに対して「返信」したり、「いいね」したりすることもできます。 詳細を読む