総務省が携帯電話料金引き下げの行動計画を示すや否や、KDDIとソフトバンクが新料金を発表した。見た目上では値下げした格好だが、格安のサブブランドでお茶を濁す対応には既視感が漂う。競争を促して引き下げにつなげる政策がことごとく空振りに終わった政府の打ち手は限られている。

参議院で所信表明演説に対する代表質問に答える菅義偉首相(10月29日)(写真=日刊現代/アフロ)

 「またもや出来レースか」。そんな冷ややかな反応が業界内に広がっている。

 総務省は10月27日、携帯電話料金引き下げに向けた「アクション・プラン」を発表。通信事業者間の乗り換えを円滑にするため、番号持ち運び制度(MNP)を2021年度から原則無料にすることや、メールアドレスの持ち運びを可能にすることなどを盛り込んだ。

 翌日にはKDDIとソフトバンクの2社が、菅義偉政権が求めたとされる「20ギガ(ギガは10億)バイトで5000円以下」の水準に合わせた新料金プランを発表した。KDDIの髙橋誠社長は「政府からの要請を受け、国際的な料金水準にした。通信品質が日本と近い米ニューヨークや韓国ソウルの通信料金と比べても遜色ない料金だ」と胸を張る。武田良太総務大臣は2社の発表を受けて「各社ともしっかり対応している。魅力的な料金・サービスの選択肢が新たに出てきた」と応じた。

 アクション・プランの基になった報告書を取りまとめた会議のメンバーである野村総合研究所の北俊一パートナーは「タイミング的に考えても事前の調整がなければできないはず」と話す。政府と通信会社による「手打ち」の構図が浮かぶ。

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