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韓国・サムスン電子の李健熙(イ・ゴンヒ)会長が10月25日に死去した。78歳だった。不況期に大型投資に踏み切り、日本の技術者を活用したことで知られるが、それは李氏の経営の一面にすぎない。半導体や薄型テレビの頂点で煌(きら)めいたイノベーター。後半生は世論の逆風にさらされ、苦悩を深めていた。

半導体メモリーや薄型テレビ、スマートフォンで世界首位に(写真は2012年6月、ソウル市内)

 「頭を下げ謙虚な態度で、顧問の技術を最大限に学び取らなければならない」。1993年、李健熙氏は新経営と呼ぶ宣言でこう提唱している。日本人を含む外国人を顧問として雇い知識を貪欲に吸収した。半導体など電子デバイスの技術も日本から次々に取り入れた。

 不況が訪れるたびに大型投資をし、景気が上向くとライバルを置き去りにする。DRAMも液晶パネルもそうだった。だが日本メーカーでよく聞くこうした評価は市場を奪われた側の方便ではなかったか。「技術を持っていかれ、創業家2代目だからサラリーマン経営者にできない逆張り投資もできる。環境が違う」と言っているようだった。