韓国・サムスン電子の李健熙(イ・ゴンヒ)会長が10月25日に死去した。78歳だった。不況期に大型投資に踏み切り、日本の技術者を活用したことで知られるが、それは李氏の経営の一面にすぎない。半導体や薄型テレビの頂点で煌(きら)めいたイノベーター。後半生は世論の逆風にさらされ、苦悩を深めていた。

「頭を下げ謙虚な態度で、顧問の技術を最大限に学び取らなければならない」。1993年、李健熙氏は新経営と呼ぶ宣言でこう提唱している。日本人を含む外国人を顧問として雇い知識を貪欲に吸収した。半導体など電子デバイスの技術も日本から次々に取り入れた。
不況が訪れるたびに大型投資をし、景気が上向くとライバルを置き去りにする。DRAMも液晶パネルもそうだった。だが日本メーカーでよく聞くこうした評価は市場を奪われた側の方便ではなかったか。「技術を持っていかれ、創業家2代目だからサラリーマン経営者にできない逆張り投資もできる。環境が違う」と言っているようだった。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り1009文字 / 全文1438文字
-
【春割】日経電子版セット2カ月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
【春割/2カ月無料】お申し込みで
人気コラム、特集記事…すべて読み放題
ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「時事深層」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?