企業スポーツを社会貢献から成長事業に転換させると宣言したパナソニック。片山栄一常務執行役員CSO(最高戦略責任者)は「資産のパフォーマンスを上げる」と力を込める。ただし、片山氏に期待されるのは「分かりにくい」とされるパナソニック全体の経営戦略だ。

<span class="fontBold">ラグビーの「ワイルドナイツ」は人気の高いチームとして知られる</span>(写真=YUTAKA/アフロスポーツ)
ラグビーの「ワイルドナイツ」は人気の高いチームとして知られる(写真=YUTAKA/アフロスポーツ)

 「約160億円あるスポーツ関連事業の売上高を2029年度に300億円まで引き上げる」。パナソニックの片山氏は9月29日のオンライン会見でこうした目標を打ち出した。

 片山氏は「パナソニックは長期間にわたってかなりの資金をスポーツに投じてきた。しかし、あれだけ盛り上がったラグビーのワールドカップを事業に十分には生かせなかった」と振り返り、「パナソニックが持つ(スポーツ関連)資産のパフォーマンスを上げる」と宣言した。サッカーの「ガンバ大阪」やラグビーの「ワイルドナイツ」といったチームの集客力を高め、その経験をスタジアム向けの製品やソリューションなどに生かすことで販売拡大につなげる。

 具体的には、10月1日付で「スポーツマネジメント推進室」を発足させた。複数の組織が手掛けていたスポーツ関連事業をまとめて管理する体制に変更し、機動性や効率性を高める。19年に観客動員数が過去最多を記録したガンバ大阪が持つデジタルマーケティングのノウハウを、ワイルドナイツやバレーボールの「パンサーズ」に展開するといった取り組みを急ぐ。

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