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システム障害により全銘柄の売買が終日停止となる事態を引き起こした東京証券取引所。当日中に売買を再開する選択肢もあったが、終日停止を決めるまでのプロセスに問題はなかったのだろうか。東証に偏った日本の取引所の構造問題など、世界のマネーを呼び込む上での課題が次々とあらわになっている。

「値つかず」となった東証の株価ボードと陳謝する宮原幸一郎・東証社長(写真=左:ロイター/アフロ、右:共同通信)

 「ドコモ口座」を悪用した銀行の預金流出事件に続き、日本の金融インフラの脆弱さがあらわとなる事件が再び起こった。10月1日に東京証券取引所で発生したシステム障害がもたらした全銘柄の終日売買停止。不測の事態を想定した対策に問題はなかったのか、東証の対応が問われている。

 システム障害が起こった当初、証券会社や投資家の多くは売買が終日できなくなるとは思っていなかったようだ。野村証券の営業現場では当初、顧客に今後も売買できない可能性がある旨を説明しつつも、注文を受け付けていた。正午前に東証から終日売買停止が発表されると、市場では驚きとあきらめの声が相次いだ。

 「売買停止が数時間で済めば損失をリカバリーできる可能性があったのに」。日本株のロング・ショート戦略に特化したある外資系ヘッジファンドのトレーダーは、終日売買停止では何も手立てがないと話す。

 くしくも9月30日、米国株市場は良好な経済指標や追加の財政支援期待を材料に、株価が大きく値上がりしたばかりだった。日本証券業協会の鈴木茂晴会長は「日本株も(前日の米株高につられて)上昇すると見込んで取引しようとしていた投資家は多かったはず。大きな機会損失だ」と語った。

システム再起動を断念

終日の売買停止は前例がない
●東証が過去に起こした主なシステム障害

 東証は過去にも幾度かシステム障害を起こしているが、売買を終日停止したのは初めてだ。なぜこれほど「空白の時間」を作ってしまったのだろうか。