NTTが4.3兆円の巨額を投じてNTTドコモを完全子会社化し、NTTコミュニケーションズなどと一体化させる。スマートシティー事業などソリューションに力を入れる持ち株会社から見ると、モバイルは一つのパーツにすぎない。澤田純社長は企業に効率よくビジネスを提供していけるNTTを目指し、再結集を決断した。

<span class="fontBold">NTTの澤田純社長(左)は記者会見で、NTTドコモの契約数シェア低下や営業利益の下落などから、100%出資とする必要があることを強調した</span>
NTTの澤田純社長(左)は記者会見で、NTTドコモの契約数シェア低下や営業利益の下落などから、100%出資とする必要があることを強調した
NTTドコモにNTTコムなどの統合案も
●NTTグループの再編図
<span class="fontSizeM textColTeal">NTTドコモにNTTコムなどの統合案も</span><br /><span class="fontSizeS textColTeal">●NTTグループの再編図</span>

 「やっぱり結集することになった。いずれはこうなると思っていた」。ある通信関係者は、NTTがドコモを完全子会社化すると発表したことについて、こう受け止めた。

 NTTは1985年に民営化された。92年、ドコモが携帯電話事業をNTTから引き継いだ。当時、日本電電公社に入社して働いていた人たちは、1つの組織がバラバラになっていく姿を目に焼き付けた。「身を引きちぎられる思いだっただろう」(NTT関係者)。その中の1人に、澤田社長もいた。分割を準備する担当に配属されていた。

 NTTが分割された際、地域や機能によって組織が分けられ、顧客のことはあまり想定されていなかった。分割ありきで実施されたためで、分割そのものに無理があったと言われている。澤田社長も、そう思っていたに違いない。

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