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新車販売の落ち込みにより、自動車産業には息切れ感が漂っている。だが、世界では新型コロナウイルス対策で膨れたマネーの受け皿として新興の自動車メーカーに資金が集まる。自動車産業を待ち受けるバブルなのか。それとも未来を切り開く夢への切符となるのか。

ニコラは燃料電池トラックで注目される(昨年の同社のイベント)

 燃料電池トラックを開発する米ニコラは6月、米ナスダックに上場した。2014年設立の新興メーカーにもかかわらず、一時は時価総額が日本円換算で約3兆円に達し、米フォード・モーターを抜き去った。短期間で上場できたのはSPAC(特別買収目的会社)と呼ばれる仕組みを活用したためだ。

 SPACは特定の事業を手掛けず、成長が望める企業を買収する。新規株式公開(IPO)で資金を調達し未上場企業と統合。市場に合併新会社を生む。ニコラもSPACと統合し上場を果たした。

 事業を持たない、いわば「空箱」に資金を投じる仕組みに違和感を覚えるかもしれない。しかしSPACにはアクティビストやプロ経営者が加わることが多い。M&Aアドバイス業務を行うグロウシックスキャピタル(東京・中央)の中島光夫代表取締役は「統合新会社の経営陣の顔が見えるので投資をしやすい面もある」と話す。仮に買収が失敗しても払込金の大半が返還されるためリスクは少ない。