日立製作所が英原子力発電所の建設事業からの撤退を発表した。事業凍結から20カ月。資金繰りのメドが立たない中での撤退は既定路線とみる向きがある。新設は見込めず、手掛けるのは保守・点検のみ。長年培った原発技術の維持が難しくなってきた。

<span class="fontBold">日立製作所の東原敏昭社長兼CEO</span>(写真=右上:Christopher Furlong/Getty Images、左下:的野 弘路)
日立製作所の東原敏昭社長兼CEO(写真=右上:Christopher Furlong/Getty Images、左下:的野 弘路)

 「新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより投資環境が厳しさを増していることも考慮し、撤退する判断に至りました」──。9月16日、英国での原子力発電所の建設・運営事業からの撤退を発表した日立製作所。大型プロジェクトからの撤退にもかかわらず、記者会見はなく発表文が配信されただけだった。

 それもそのはず。今回の撤退は既定路線とみられていた。日立が英原発事業に参入したのは2012年。英ホライズン・ニュークリア・パワーを買収し、英中部のアングルシー島に原発2基を新設する計画だった。だが総額3兆円規模に膨らんだ資金の調達スキームなどが整わず、経済合理性の観点で厳しいと判断した。19年1月に計画の凍結を発表した日立は、同年3月期に2946億円の損失を計上。撤退の時期を見計らっていた。

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