コロナウイルスを機に国際政治での「米中2極」という時代認識が間違っていることがより明確になりました。

<span class="fontBold">寺島実郎</span><br>日本総合研究所会長、多摩大学学長。三井物産常務執行役員、三井物産戦略研究所会長なども務めた。(写真=菊池 くらげ)
寺島実郎
日本総合研究所会長、多摩大学学長。三井物産常務執行役員、三井物産戦略研究所会長なども務めた。(写真=菊池 くらげ)

 中国政府は国際約束を反故(ほご)にして香港の一国二制度を事実上破綻させ民主派に弾圧を加えました。中国にシンパシーを抱いていた世界の華人・華僑社会でも反発が起こっています。香港での失敗は、台湾の「脱中国」も加速させました。新型コロナを封じ込めるのに成功した台湾を中国がWHO(世界保健機関)から締め出し、オブザーバー参加にすら反対を唱えたことは、台湾の人々が中国に対して感じる違和感をさらに強めるものでした。

 米国もポスト冷戦のマネジメントに失敗しました。9・11同時テロ後、アフガニスタンとイラクで戦争を始め、民族や宗教という火に油を注ぎ、リーダーとして世界を制御する力を後退させました。コロナの対応も失敗し死者が18万人を超えました。格差と貧困と差別を克服できていないことが原因です。

 事の本質は米中の緊張の高まりではない。両国とも失政を繰り返し、極を形成してはいません。

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