半導体メモリー大手のキオクシアホールディングスが10月に上場する。上場時の時価総額は2兆円を超える見通しで、今年最大のIPO(新規株式公開)となる。東芝から独立して2年4カ月でかなう悲願。その立役者が初代社長を務めた故・成毛康雄氏だ。

 日経ビジネス電子版が8月25日にスクープした通り、半導体メモリー大手のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)が10月6日に上場する。東京証券取引所が8月27日、キオクシアの上場を承認した。上場時の時価総額が2兆1300億円になるとみられる大型案件だ。

上場で調達するのは853億円
●キオクシアHDの資本構成(議決権ベース)の変化
<span class="fontSizeM">上場で調達するのは853億円</span><br><span class="fontSizeXS">●キオクシアHDの資本構成(議決権ベース)の変化</span>

 「成毛さんにいい報告ができる」。キオクシア関係者からは、東芝メモリの初代社長を務めた故・成毛康雄氏をしのぶ声が聞こえてくる。今年7月に病気のため死去した成毛氏は、東芝のメモリー事業を守り、独立への道筋をつけた立役者だった。

 1984年の東芝入社後、半導体畑を歩んだ成毛氏は、東芝の不正会計問題が発覚した2015年に半導体事業担当の副社長に就任した。16年末に米原子力大手ウエスチングハウスの巨額損失が明らかになった東芝は債務超過の解消策としてメモリー事業の売却を決断。「社会インフラなどとスピード感が全く違うメモリー事業は独立すべき」。かねてそう考えていた成毛氏は、ベストな独立の形を選ぶために奔走した。

 時には強硬手段にも打って出た。四日市工場でフラッシュメモリーを共同生産するパートナーであり、メモリー事業の買い手として名乗りを上げた米ウエスタンデジタル(WD)には特に厳しく対応した。17年6月にはWDによる東芝メモリの情報へのアクセスの遮断を決めたほどだ。

次ページ 「選ぶ理由がなかった」