コロナ禍やキャッシュレス決済の普及で現金決済需要は減少傾向だが、市中に出回る現金の額は伸び続けている。1万円札の流通増の背景には現金を銀行に預けない、自宅などでの「貯蔵需要」の高まりが関係していそうだ。低金利政策がもたらしたゆがみが、日銀の通貨発行・維持コストを増やし税の捕捉を難しくする可能性がある。

 新型コロナウイルスの感染拡大で人々が外出を控える動きに伴い、ATMにおける現金の受け入れ、払い出し件数も大きく減っている。一方で、世の中に出回る現金(現金流通高)は増加するという現象が起こっている。

(写真=PIXTA)

 日本銀行の発表によれば、今年7月の現金流通高は118兆8500億円と、3月の114兆5500億円から大きく増えた。券種別では1万円札の流通高が3月に比べて4.3%増えている。1000円札や5000円札の流通高は減少しており、1万円札の増加が突出している。

 なぜか。考えられるのは、貯蔵手段としての需要が高まったことだ。銀行やATMに足を運ぶ回数を減らそうと多くの人が手元に多くの現金を置いた結果、1万円札の需要が急増したことが推測できる。いわゆる「タンス預金」が増えたのだ。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り879文字 / 全文1374文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「時事深層」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。