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国内外のアパレルでブランドの統廃合や大量閉店、希望退職といった動きが止まらない。新型コロナウイルスはアパレルを苦境に追い込み、身に着けるものへの消費者の志向そのものも激変させている。かねて限界がささやかれていた衣料品の大量供給モデルが、コロナ禍でいよいよ終焉(しゅうえん)を迎えている。

大手のブランドが大量供給するビジネスは厳しくなるという長年の指摘が現実のものとなっている(写真はイメージ、PIXTA)

 新型コロナによるアパレルの退潮は加速している。米Jクルーや米ブルックスブラザーズなどのグローバルブランド、レナウンといった国内の名門が経営破綻した。中間価格帯を得意とする総合アパレルが次々に苦境に立たされており、オンワードホールディングスは前期に続き今期も国内外700店規模の閉鎖を計画する。三陽商会も今期、最大150店舗の閉鎖を予定している。

 8月5日にはワールドが、アクアガール、オゾック、アナトリエなど5ブランドを廃止し、全店の15%に当たる計358店を閉めると発表した。約200人の希望退職も募る。

季節感も失われた

 コロナは緊急事態宣言による消費空白期間を生むにとどまらない爪痕を残した。疫病の長期化で人に会わない日常はおしゃれへの支出が回復しないことを意味している。リモートワークではカメラ映りを意識してワイシャツやブラウスをきれいに着ようとするだろう。しかし足元は半ズボンやスエットパンツというのがニューノーマルだ。

 そして梅雨が明けるとクールビズ商戦の消失が鮮明になってきた。ビジネス向けの販売が盛り上がらず、外出自粛で速乾性の素材など機能性衣料の需要も弱い。季節感を出すというアパレルの存在意義が薄れている。