世界の医学者が最新情報を寄せる英米の医学誌で新型コロナウイルス感染症に関する論文が相次ぎ撤回された。米医療情報企業が提供したデータに疑念が生じたためだ。著者の一人が大本のデータをねつ造したとみられている。パンデミック下で、科学論文の早期公開が望まれている。だが、情報は玉石混交であると認識すべきだ。

 英ランセットと米ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)に掲載された2つの論文はそれぞれ、抗マラリア薬と高血圧薬が新型コロナにどう作用するかを論じていたが、6月4日に撤回された。筆頭著者は米ハーバード大の医学者で同じ人物。医療情報を扱う米サージスフィアが世界の医療機関から集めたという新型コロナ感染者のデータに疑問があると第三者が指摘し、著者がデータの出所などを検証できないとして撤回した。

 サージスフィアは論文の著者の一人である医師、サパン・デサイ氏が設立した。従業員数はわずかだが、「世界の約700病院から9万6000人分の患者データを収集した」と説明していたことなどから疑念が持ち上がった。

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