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緊急事態宣言が解除され、小売業やサービス業が本格的に営業を再開し始めた。巣ごもり消費やEC(電子商取引)の利用は新・生活習慣として定着しつつある。購買行動の激変を逆手に取り、「店舗型」企業は事業モデルを転換できるだろうか。

感染拡大のリスクを負いながらも、経済活動は徐々に再開している(写真はJR品川駅コンコース)(写真=読売新聞/アフロ)

 「お客さんにはたくさん来てほしいが、『密』は避けなければ」。緊急事態宣言の解除を受け、5月28日に営業を再開したイオンモール幕張新都心(千葉市)。関係者は複雑な胸の内を明かす。

 営業再開に当たり、0.5秒で検温できる装置を40台、業務用サーキュレーター8台、距離を保つよう呼び掛けるディスプレーを25台設置した。1500あったフードコートの席は半分にした。すべては「ここなら安心と思っていただくため」(小林純一ゼネラルマネージャー)。入館者を数えて店内の「密度」を測り、一定値を超えたら制限する。

イオンモールは0.5秒で検温できる装置を設置。入館者数と売り場面積や建物の容積を勘案して「密度」を算出し、一定値を超えたら入館を制限する

 だが、こうした二重三重の安心策はイオンの成功モデルに逆行する。イオンモールは家族や友人と館内に長時間滞在してもらい、ついで買いを誘発することを想定してきた。テナントの賃料も売り上げに比例する仕組み。買ってもらわなければ収益は上がらない。

 悩んだ末の当面の一手が車に乗ったまま映画を鑑賞するドライブインシアターや献血の受け入れ。密集を避けながら程よく人が集まると判断した。イオンの吉田昭夫社長は「海外旅行が敬遠される中、モールは近場の小レジャーの場にならないといけない」と話す。新たなモデルの試行錯誤が始まった。

オンラインでも寄り添える

 緊急事態宣言が解除され、店や施設が動き出したが、コロナ禍で消費者の買い物への意識は激変している。実店舗を構える小売り・サービスは感染防止に加え巣ごもりやECの拡大を念頭に置いたモデルに転換せざるを得ない。