首都圏を含めて緊急事態宣言が解除され、ビジネスや消費の現場は正常化に向けた一歩を踏み出した。かねて指摘されるのはニューノーマルだ。商品の売れ筋や生活習慣の変化は徐々に定着していくだろう。リモートワークにより、仕事の進め方やコミュニケーションの方法までが変わる会社も、かつてとは別の姿になる。

企業経営 鈴木幸一氏


在宅進行は不可逆 人の育成が課題に 会社の形が変わる
鈴木幸一氏[すずき・こういち]
1992年に現在のインターネットイニシアティブ(IIJ)を設立し、94年社長。郵政省と1年以上折衝し、商用ネット接続サービスを始めた。現在は会長兼CEO。
(写真=古立 康三)

 30年近く前にIIJを創業した時から、「ネットという1つの空間に情報が集まり、同じ空間のなかで働いたり、活動したりするようになる」と言い続けてきました。空間や時間軸を共有していれば、会社もリモートも変わらない。膨大な情報がすべてネット上にあれば、どこからでも自在にアクセスできるわけです。しかし技術としては確立していても、社会に定着しなかったのが現実でした。今、新型コロナを背景にして抵抗感がなくなってきている。

 技術革新とは不可逆的なものですから、定着するでしょう。IIJにも、テレワーク関連のソリューションに対する引き合いがものすごく来ています。

 社員が何千人もいる会社でも、出社しなければ仕事にならないという人はほんの一部だったりする。コストをかけてオフィスのフロアを広げる必要はないかもしれない。フリーアドレス制にすれば空間的には助かり、コスト面ではすごくメリットがある。

 しかしネットのような抽象的な空間で働くのと、物理的な空間に集まるのとは、やはり何か違うと思います。人間って会話から生まれるものがありますよね。話していくうちに何かを作り出していくところが人間の素晴らしさだと思う。IIJが小さかった頃、エンジニアと居酒屋で毎晩のように議論しました。「こういう開発をしろよ」と言うと、その場で早速やっちゃう。理屈でなくクリエーティブな発想が出てくるんですよ。

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