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日産自動車は2020年3月期、6712億円の最終赤字に転落した。約720万台の生産能力を2割削減する方針で、設備の減損損失を計上。脱・拡大路線に覚悟を示したが、「身の丈」に戻るのは一筋縄ではいかない。

リーマン・ショック後以来の最終赤字に
●日産自動車の連結業績推移
「過度なストレッチをせず未来の成長のためにやっていく」と内田誠CEO

 「日産を必ず成長軌道に戻す。経営層が意識を変え、社内の内向きの文化を変え、お客様や販売会社、取引先からの信頼を取り戻す」。5月28日、オンラインでの決算会見に臨んだ日産自動車の内田誠社長兼CEO(最高経営責任者)はカメラに厳しい視線を送りながら語気を強めた。

 2020年3月期の業績は、仏ルノーの支援で倒産を免れた翌年の00年3月期以来の低水準。営業損益は405億円の赤字だ。元会長のカルロス・ゴーン被告を中心に11年に打ち出した中期経営計画「日産パワー88」に沿って拡大した生産能力は「水膨れ」が顕著になっていた。

 中南米やアジアの生産拡大を優先した結果、開発が手薄になり新車投入が遅れた。これが5年超という長い「車齢」に表れている。主力の北米市場では商品力低下を販売奨励金で補ったものの、ブランドと競争力の欠如が浮き立った。

 「これまで十分に向き合ってこなかった失敗を認め、正しい方向に向かう」。そんな覚悟で掲げた24年3月期までの4カ年計画のキーワードが「選択と集中」だ。拡大路線でのパートナーだった仏ルノー、三菱自動車とのアライアンスの主軸を効率化に置く。主に開発機能とコスト負担を3社に分散させ、各社が得意な地域に注力する筋書きだ。