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新型コロナウイルスのまん延に伴う巣ごもり消費は、一過性の傾向にとどまらないと食品各社が判断し始めた。外食で利用されるビール類や食材など業務用製品の需要が急減。家庭向けへの大胆なシフトを迫られている。始まった「内食」市場の獲得競争。先手を取れるかがポストコロナの帰趨を決めるとみた各社の危機感は強い。

緊急事態宣言で都心の飲食店街から人の姿が消える一方、食品スーパーには「3密」が常態化するほど人が集まる(写真=右:共同通信)

 「業務用の受注が大幅に減る一方、家庭用は例年の5倍ほどの注文を受け(生産ラインは)フル稼働している」。日清製粉グループ本社の毛利晃経理・財務本部長は5月14日のオンライン会見でこう話した。巣ごもり消費の広がりを機に、小麦粉やパスタといった調理用食材で、家庭用の少量商品への需要シフトが始まった。機会ロスを最小限に抑えるため、生産ラインを急きょ、家庭用に切り替えようとしている。

 ブルドックソースも「2020年度の社内予算や新入社員の配置などを業務用から家庭用に振り分けた」(石垣幸俊社長)という。業務用強化を目指していた20年度からの3カ年の中期経営計画とは逆の対応を迫られた。

 食品は新型コロナによる消費行動の変化が最も大きく影響する業界の一つ。5月に発表した食品大手の3月期決算では、外出自粛による飲食店や宿泊施設の営業縮小で、収益の柱の1つである業務用事業が低迷しているとの声が相次いだ。緊急事態宣言後の4~6月期はさらに厳しい結果が待ち受ける。