全2849文字

コロナ禍で、国内メガバンクが「与信コスト」を膨らませ始めた。前例なき局面だけに、各行とも企業業績の行方に吟味を重ねつつも、その額は1兆円を超える。引当金の戻しが銀行経営を一時的に潤す方程式は崩れ、今後は融資先を選別する動きも強まりそうだ。

多くの金融機関は、新型コロナの影響が2年は続くとみて、貸倒引当金の積み増しに動き始めた(写真=左:西村尚己/アフロ、右:共同通信)

 「最大の懸念事項」。5月15日、みずほフィナンシャルグループの坂井辰史社長は決算説明会でこう指摘した。新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う日本経済の収縮を受け、貸倒引当金など「与信コスト」の膨張に危機感を示したものだ。

 みずほの場合で新型コロナ関連の与信額は2020年3月期で1350億円、21年3月期予想で2000億円に及ぶ。確かに数字はリーマン・ショック時と比べると6割程度の水準だが、坂井氏はこう続ける。「本当にこの程度で済むのか」。メガバンク首脳でさえ、コロナの影響を読み切れていない現状を映す。