緊急事態宣言の延長により、大手生保は保険の対面営業自粛の長期化を余儀なくされている。一部の営業活動で非対面を解禁する動きも出ているが、デジタル対応の遅れや複雑な商品を扱うため限界もある。非対面化を進め過ぎると、他の保険販売チャネルとの差異化を打ち出しにくいジレンマにも直面してしまう。

 新型コロナウイルス感染拡大で4月7日に緊急事態宣言が発令されて以降、対面営業を自粛している大手生命保険会社。緊急事態宣言が延長され、営業自粛の長期化は必至となった。

 過去に獲得した契約分の保険料収入が定期的に入ってくるため、1~2カ月間の営業自粛がすぐに大きな業績悪化につながるわけではない。しかし、ある大手生保幹部は「これまでデジタル改革を真剣に進めてこなかったツケが来ている」と焦りを隠せない。

 大手生保の保険販売は、営業職員が顧客の自宅や職場近くまで出向き、対面で説明、契約するのが基本だ。顧客との関係構築を重視してきたため、非対面を想定した契約締結のルールが今までなかった。インターネットやスマートフォンを活用した販促支援や契約更新手続きなどのプラットフォームも確立されていない。「急速に取り組まなければならない課題だが、今後業績が悪くなるとシステム投資に予算が割けなくなる」と、前出の関係者は語る。

コロナ禍前から「対面」は減少傾向
●販売チャネルごとの生保加入の割合
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出所:生命保険文化センター

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