収入減世帯への30万円の現金給付案が撤回され、国民1人当たり10万円が一律給付されることになった。公明党の強硬な要求に安倍晋三首相が折れ、補正予算案組み替えという異例の対応を迫られている。官邸主導の政治手法は揺らぎ始めており、今後の政権運営や「ポスト安倍」レースへの影響も必至だ。

<span class="fontBold">政権には「30万円案」と政治手法への批判が高まっている</span>(写真=共同通信)
政権には「30万円案」と政治手法への批判が高まっている(写真=共同通信)

 「国民から寄せられた様々な声や与野党の声も踏まえた。私自身の責任であり、おわび申し上げたい」

 安倍晋三首相は17日の記者会見で、減収世帯に30万円を支給する案を撤回し、10万円の一律給付に転換したことについて、こう陳謝した。

 対策費などを盛り込んだ2020年度補正予算案の国会提出直前に公明党の圧力に押し切られ、首相は目玉政策の修正に追い込まれた。いったん了承したにもかかわらず、公明党が土壇場で強硬に見直しを迫った背景にあるのが、「30万円給付案」への不満だ。

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