新型コロナウイルスにより、医療供給体制が逼迫する中、軽症者らのホテルへの移送が始まった。東京都は1000室程度の確保を目指しており、神奈川県もアパホテルから約2300室を借り上げた。現場ではホテル内に自治体の職員が入り込むという前例のない運営をしており、課題が山積している。

<span class="fontBold">軽症や無症状者のホテルへの移送が始まった</span>
軽症や無症状者のホテルへの移送が始まった

 13日に確認された感染者は290人、累計で全国7500人超──。毎日更新される感染者数に国民はおののいている。ここにきて積み上がる累計罹患者だけでない数字が重みを増してきた。退院した人と死者を除いた現時点で「感染している人の数」。日本経済新聞のまとめでは13日時点で6000人を超え、日々増え続けている。

 これまで軽症や無症状の感染者も入院勧告の対象だったが、厚生労働省は医療供給体制をパンクさせないよう、4月に入り病院外療養について具体的な方針を発表。宿泊施設や自宅での療養を勧めている。重症患者を優先的に入院させ、医療崩壊を抑える狙いがある。

 先んじて動いたのが東京都。4月7日に軽症、無症状の11人を「東横イン東京駅新大橋前」(東京・中央)に移送した。同ホテルの客室数は208室で、12日までに92人が入所している。神奈川県も2311室の「アパホテル&リゾート 横浜ベイタワー」(横浜市)を借り上げ、20日から移送を始める。

 自治体の動きを受け、楽天は宿泊サイト「楽天トラベル」の登録施設にヒアリングを進め、10日時点で約800施設(計約10万室)が応じる意向を示した。ほかの自治体にも広がりそうだ。

 入院の代替となる宿泊療養だが、現場は綱渡りの運営を強いられている。東横インに詰める都職員と医療従事者は最低限の人数に絞っている。当初加わった自衛隊員は「事態が深刻になった時に備えたいようで、2棟目以降には派遣されない」(東京都関係者)という。

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