メッセージアプリのLINEが厚生労働省と、新型コロナウイルスの大規模調査を実施した。調査対象は国内8300万人に上り、発案から6日で実行にこぎ着けた。インターネット関連企業の存在感が、既存の通信大手より大きくなったことを象徴するような出来事だ。

 国民の5人に1人が回答──。LINEが3月31日、新型コロナウイルスの感染の実態を把握する調査を厚生労働省と実施し、回答者数が2453万人に上った。8300万人の利用者を持つプラットフォーマーだからこそ、2日間の調査でこれだけ集まった。

 厚労省とLINEのタッグによる調査は4月13日までに3回行われた。この調査によって、37.5度以上の発熱が4日以上続いた人の割合が、「接客を伴う飲食業」「外回り営業」の属性グループで0.23%となり、ほかの職種より高い傾向が見られた。密閉・密集・密接の「3密」を回避できない職業で、発熱している人の割合が高いことなどを裏付ける結果となった。

 大規模な調査にはそれなりの時間が必要だが、感染が広まるなかで与えられる時間はごくわずかしかない。プロジェクトを指揮した江口清貴執行役員は「数日で急いで準備した」と話す。

 江口氏が厚労省の担当者とのミーティングで、調査を発案したのは3月25日のこと。そこから社内や厚労省との調整を進め、LINEの約20人を中核とする特別チームの突貫工事によって、6日後の初回調査にこぎ着けた。ネット企業ならではのスピードを発揮したかたちだ。

 「当社にしかできないことで力になりたかった」と江口氏は語る。ヤフーなども政府へのビッグデータの提供を検討しているが「ほかのプラットフォーマーは位置情報や検索履歴など過去のデータを提出して協力する。LINEは今までにないデータを新たにつくって協力できる」と話す。

<span class="fontBold">大規模調査の結果を厚労省に提出するLINEの江口清貴執行役員(右)</span>
大規模調査の結果を厚労省に提出するLINEの江口清貴執行役員(右)

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