日系の自動車メーカーが、東南アジアの中核生産拠点であるタイで、完成車工場の稼働を次々に止めている。各国で広がる都市封鎖により部品の供給が滞っているだけでなく、需要の急減も追い打ちをかけている。経営を断念する部品工場も出始めた。コロナ後にも影響を及ぼす亀裂がサプライチェーンに生じている。

<span class="fontBold">非常事態宣言下のバンコク市内は閑散としている</span>
非常事態宣言下のバンコク市内は閑散としている

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、タイに集積する日系大手自動車メーカーが相次ぎ工場の稼働を止めている。4月7日までにトヨタ自動車、ホンダ、マツダ、三菱自動車、日産自動車などが現地の生産ラインの一部、あるいは工場全体で一定期間、操業を停止することを決めた。

 域内では完成車生産に必要な部品の供給が滞り始めている。東南アジアや南アジアでは各国政府が次々にロックダウン(都市封鎖)に踏み切った。各地に散らばる多くの自動車関連工場が閉鎖を余儀なくされ、部品のサプライチェーンが寸断されてしまった。

 タイでは3月26日に非常事態宣言が発令され、4月3日には夜間の外出が禁止された。より厳しい封鎖が実施されると見る向きもあり、「生産継続は難しい状況になりつつある」と自動車メーカー関係者は指摘する。

 もっとも生産停止が広がるのは都市封鎖だけが原因ではない。需要の急減も完成車メーカーを追い込んでいる。

 「タイは国内向けだけでなく世界に完成車を輸出する拠点になっている。国内外で需要が落ち、需給調整の一環としてタイでの生産を見合わせることにした」(トヨタ)。「タイ拠点の生産停止は世界的な需要の縮小が背景」(三菱自)。「4輪の生産停止は需給調整」(ホンダ)と各社は口をそろえる。

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