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政府が緊急事態宣言に踏み切る意向を固め、日本のコロナ対策が一段と強化されることが確実になった。経済への影響は大きく、飲食・小売りはもちろん、不動産や物流まであらゆる産業が打撃を受けかねない。だが法的強制力のない「日本版ロックダウン」では、それだけの犠牲に見合う成果が得られるとは限らない。

度重なる東京都の自粛要請で、緊急事態宣言を待たず閑散とする銀座(写真=共同通信)

 4月6日、政府が緊急事態宣言に向けた準備に入ることを表明し、日本の新型コロナウイルス対策が一段と引き上げられることが確実となった。

 現在、世界の主要都市が踏み切っているのはロックダウン(都市封鎖)だ。日本では、新型インフルエンザ特別措置法(特措法)にもロックダウンへの言及はなく、法制度上、海外諸国がやっている“厳密な意味での都市封鎖”はできない。それでも、政府が緊急事態宣言を出すことで、様々な「ロックダウン的措置」が可能になる。

 ただ、結論から言えば、法的強制力がない「日本版ロックダウン」では、経済や社会が混乱する割には十分な成果を得られない事態になりかねない。

(写真=Simona Granati-Corbis/Getty Images)

 ロックダウンを厳密に実行できれば、感染拡大防止に一定の効果があるのは事実だ。もちろん、導入すれば様々な混乱は生じる。例えば、1万5000人以上の死者が出ているイタリア。全土が3月10日にロックダウンに移行してから約1カ月が経過した。ミラノの大聖堂など世界的観光地には人影がなく、多くの製造業が生産を停止。欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は11日から国内の6つの完成車工場を休止した。

海外では一定の防止効果

 それでも海外では、時間がたつにつれて、「副作用」にほぼ見合うだけの成果が各国で上がっているとされる。中国の北京師範大と英オックスフォード大などの研究チームは、武漢市で実施されたロックダウンを分析。交通機関の停止や娯楽施設の閉鎖で、約74万人の新たな感染を防いだと発表した。

 米国では、外出禁止令を出し早めに事実上のロックダウンに踏み切った都市とそうでない都市での明暗が鮮明になっている。3月22日から導入したニューヨーク州の感染者数が約12万人強なのに対し、19日発動のカリフォルニア州では約1万4000人に抑え込むことに成功。死者数も前者は4000人を超えるが、後者は300人超だ。

●各国が実施した外出禁止策

 では、日本の場合はどうなるか。日本版ロックダウンでも諸外国同様、まず様々な経済的・社会的混乱が生じることは間違いない。具体的には、街の機能の多くが停止する。