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「リーマン・ショックを超える危機が迫っている」と昨年から警鐘を鳴らしてきたジム・ロジャーズ氏。新型コロナウイルス問題をきっかけに、覆い隠されてきた過剰債務の問題が火を噴くと予測する。ただ「危機」という文字は危険と機会の両方を意味し、ビジネスや投資のチャンスも生まれるという。

ジム・ロジャーズ
Jim Rogers
投資家
1942年米アラバマ州生まれ。米エール大学卒。英オックスフォード大学で修士号を取得。ジョージ・ソロス氏とクォンタム・ファンドを創業し、驚異的なリターンを生む。米コロンビア大学で金融論を教えた後に、2007年、一家でシンガポールに移住した。(写真=的野 弘路)

 「2020年にも、リーマン・ショックを超える経済危機がやってくる」と昨年から警告を発してきた世界的な投資家、ジム・ロジャーズ氏。日経ビジネスの昨年の取材では「中国の企業倒産などをきっかけに、株式市場が大変調し、最悪の危機がやってくるだろう」と話していた。

 今回の危機のきっかけは中国発の「倒産」ではなく「ウイルス」だったが、同氏が予測したような展開となっている。混迷が深まる世界をどう見ているのか。ロジャーズ氏に改めて話を聞いた。

 「私は以前から、次はリーマン・ショックをはるかに超える危機がやってくると言ってきた。それが今、始まろうとしている。強調したいのは、新型コロナウイルスはきっかけにすぎないことだ。経済危機が来ることは、昨年から見えていた。経済紙の隅々まで目を通していれば、その兆しに気づいていた人も多いはずだ」

 「世界各国の財政状況を見てほしい。インド、トルコ、インドネシアなどの国の苦境がすでに、海外の新聞の一面を飾ってきた。欧州や米国を含む世界で問題が起き始めていた。08年にリーマン・ショックが起きた時は、中国にマネーが潤沢にあった。外貨準備も十分あった。だから、中国は蓄えておいたお金を使って、ある意味、世界経済を救った。しかし今は、その中国ですら借金漬けだ」