新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、東京五輪の7月開催が土俵際に追い込まれている。国際オリンピック委員会が延期の検討に入り、安倍首相も初めて延期に言及した。ただ、日程の調整や当初予定されていた経済効果の減衰など、延期シナリオにも難題が立ちはだかる。

(写真=つのだよしお/アフロ)
(写真=つのだよしお/アフロ)

 感染者数が世界で累計37万人を超えた新型コロナウイルス。その増加ペースは加速しており、全世界の死者は3月23日に1万6000人を超えた。欧州では死者が6000人超となったイタリアを筆頭に、スペイン、フランスで非常事態宣言が出る深刻な事態となっている。米国でもニューヨーク州など複数の州で外出制限令が出された。

 各国が感染拡大を食い止めようと人の動きを制限する過程で、大人数が集まるイベントはことごとく中止・延期を余儀なくされている。

 そしてついに、今年7月24日から開催される予定の東京五輪・パラリンピックの雲行きもあやしくなってきた。これまで「予定通り」を主張していた国際オリンピック委員会(IOC)が23日、東京五輪の延期を含めた検討に入ると発表したからだ。

 IOCは今後4週間以内に結論を出す方針で、安倍晋三首相も23日の参議院予算委員会で「アスリートを第一に考え延期の判断も行わざるを得ない」と、IOCの方針を支持。五輪を巡る状況は一気に変わった。

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