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WHOが新型コロナウイルスを「パンデミック」と認定。中国以外の地域での感染拡大に危機感が強まる。米国が最大5兆円超を対策に投じることを決めるなど、欧米を中心に大規模な対策に動く国・地域が増えている。もっとも、その中身には違いも見られる。日本の対策は十分か。学べる点はないか。

3月11日、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が新型コロナウイルスについて「パンデミック(世界的な大流行)」と表明(写真=左上:ロイター/アフロ、中央上:ユニフォトプレス、中央下:Woohae Cho/Getty Images、右上:代表撮影/ロイター/アフロ、右下:AFP/アフロ)

 3月10日。イタリアの街の空気は朝から一変していた。散歩やジョギングをする人すらほとんどいない。

 「国民全員が協力して厳格な規制に対応を」。コンテ首相がこう呼びかけたのは前日夜。新型コロナウイルスの感染拡大が続く北イタリアを対象にしていた移動制限措置をイタリア全土に広げると発表、国民には外出を控えて自宅で過ごすように要請した。許可なく国内外に移動すると罰金を科すなど、強制力も強めた。企業は在宅勤務を原則とし、特別な許可がなければ出勤できないようにした。ミラノ在住の日本人が語る。「こんな状況では出かけるのも気が引ける」

 2019年末に最初の感染者が中国湖北省武漢で確認され、中国を中心に広がった新型コロナウイルス。それが世界へと拡散し、3月に入ってからは欧米で感染者が急増している。

11年ぶりのパンデミック

 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は3月11日、「パンデミック(世界的な大流行)とみなせる」と表明。WHOは09年の新型インフルエンザ以来11年ぶりにパンデミックの表現を使い、各国・地域に対策強化を促した。この時点で感染は110カ国・地域以上に広がり、累計の感染者数は12万人、死者は4600人をそれぞれ超えていた。

 トランプ米大統領が動く。WHOによる「パンデミック認定」直後の11日夜、「米国民の健康と安全を守るための強力かつ必要な行動に出る」と宣言。欧州からの入国を30日間禁止すると発表した。13日には国家非常事態を宣言、最大500億ドル(約5兆4000億円)を投じ、ウイルス検査や治療体制の強化に充てることを表明した。

 13日にはシンガポール政府もイタリアとフランス、スペイン、ドイツの4カ国からの入国を15日から禁止すると発表。スペインのサンチェス首相も同日、非常事態を宣言、政府が強制力を持って人の移動を制限できるようにした。

 恐れていたパンデミックが現実のものとなり、世界で強まる新型コロナ対策。日本でも首相による「緊急事態宣言」の発令を可能にする改正法が13日に成立し、法律に基づく外出自粛や大型百貨店や映画館などの休業を要請・指示できる態勢が整った。

 もっとも、こうした対策も各国・地域ごとに中身に違いが見られる。海外と比較すると、日本で今後、必要になる対策も見えてくる。

日経ビジネス2020年3月23日号 16~19ページより目次