キリンホールディングス(HD)と英投資会社の経営方針を巡る対立は深まるばかりだ。医薬や健康分野への多角化が成長エンジンだと改めて表明したキリンHDは、英社の株主提案を拒否する方針。ガバナンスの強化に全力を傾ける姿勢も強調しており、社外取締役の在り方が今後の争点になりそうだ。

<span class="fontBold">キリンHDの磯崎社長(右)はベネシュ氏について「キリンについて全くご存じなかった。選んだ場合、株主価値最大化を果たせるのかと考え見送った」と話した</span>
キリンHDの磯崎社長(右)はベネシュ氏について「キリンについて全くご存じなかった。選んだ場合、株主価値最大化を果たせるのかと考え見送った」と話した

 「会社提案の取締役構成は他の企業と比較しても、日本のガバナンスの最先端にいると自負している」。3月27日に定時株主総会を控えるキリンHD。磯崎功典社長は3日の記者会見で、こう言い切った。多角化戦略やガバナンス体制を巡り、対立を深める英投資会社、フランチャイズ・パートナーズ(FP)を意識したようだ。

 2019年2月に発表した長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027(KV2027)」では、健康関連や医薬などに経営資源を集めて成長を目指す方針を掲げた。これにキリンHD株の2%以上を持つというFPが反発している。企業価値を最大化するには他の世界大手のようにビール事業に集中することが必須とのスタンスを取る。

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