新型コロナウイルスの感染拡大により、東南アジアの経済が打撃を受けている。製造業ではサプライチェーンの中国依存が顕在化し、農業や観光業にも幅広く影響が及ぶ。苦しい中での協力を呼び掛ける中国とどこまで距離を保つか。企業も政府も難しい判断を迫られている。

<span class="fontBold">ラオスで開いた特別外相会合。中国は王毅外相が出席した</span>
ラオスで開いた特別外相会合。中国は王毅外相が出席した

 「大手自動車メーカーの工場が軒並み稼働を停止するかもしれない」。2月中旬、タイに集積する自動車関連メーカーの間で、こんな噂が広がった。完成車や部品のメーカーの多くが、調達の一部を工場の生産停止が広がる中国に依存しているためだ。実際、ある日系完成車メーカーはサプライヤーに「新型コロナウイルスの影響で生産に支障が出る可能性がある」と通知を出している。

 中国の工場が徐々に稼働を始めたこともあり、現状でタイの自動車生産に大きな支障は出ていない。だが「先行きが見えず、安心できる状況にない」という声が自動車業界から聞こえてくる。

 新型ウイルスで表面化した東南アジアのサプライチェーン危機は、製造業の中国への依存度の高さを浮き彫りにした。2月21日のロイター通信によると、ベトナム商工省は「中国からの部品調達が困難になり、(スマートフォンの大型工場を持つ)韓国サムスン電子の新機種生産に遅れが生じる恐れがある」との懸念を表明している。

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