サントリースピリッツが酒齢55年以上の原酒を使う「山崎55年」を発売する。価格は1本300万円(税抜き)だ。原酒不足で旗艦商品の販売減が続いており、希少な原酒ストックを放出して山崎ブランドをてこ入れする。ウイスキーブームで酒類の販売は好調だが、深刻な原酒不足がブランドを揺るがしかねないとの焦りが滲(にじ)む。

山崎55年の発売を発表するサントリースピリッツの鳥井憲護ウイスキー事業部長(写真右)と福與伸二チーフブレンダー(同左)
山崎55年の発売を発表するサントリースピリッツの鳥井憲護ウイスキー事業部長(写真右)と福與伸二チーフブレンダー(同左)

 サントリーで最高酒齢となる「山崎55年」は、限定100本の注文を2月に受け付け、抽選を経て6月から発送する。サントリー創業者、鳥井信治郎氏(1962年没)の存命の頃の原酒も使うという。輸送は「美術品」扱いで損害保険にも加入するというものものしさだ。

 1本300万円という価格の商品を売り出す理由は、近年の世界の品評会で次々に受賞作を出したサントリーの最高級品戦略というだけではない。折からのウイスキーブームで原酒が不足し、販売量が縮小しているプレミアムウイスキー事業への焦燥感が透ける。

 「原酒不足の中、新しい情報発信ができないことに危惧を感じていた。山崎らしい商品をリリースしなければと考えた」。鳥井憲護ウイスキー事業部長は発売の経緯をこう語る。酒齢55年以上の貴重な原酒ストックの数%分を放出するのと引き換えに山崎ブランドのてこ入れに動く。

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