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中小企業の粉飾決算が増えていると、地域金融機関のトップが相次ぎ声を上げている。関連倒産が増えるばかりか、粉飾絡みの相談も急増し、不正が明るみに出る“予備軍”の増加基調は鮮明だ。中小の多くが事業承継を迎える上、再編を見込む地域金融の審査が厳しくなり、グレーゾーンにメスが入りつつある。

 「粉飾決算を重ねていたと告白する中小企業が増えている」。東日本の有力信用金庫のトップは嘆く。昨年12月にも融資先の中小製造業で粉飾決算の末の破産申請があったという。

 2019年の後半、地域金融機関で粉飾決算の増加が突然話題になった。口火を切ったのは西日本シティ銀行と長崎銀行を傘下に置く西日本フィナンシャルホールディングスの谷川浩道社長。11月6日の記者会見で「融資先の決算の粉飾などいろいろな瑕疵(かし)があった」と言及すると、11日には横浜銀行を持つコンコルディア・フィナンシャルグループの川村健一社長が「いい調子に見える会社が実は粉飾で倒産している」と述べた。

 相次ぐ発言を総括したのが2日後に記者会見を開いた全国地方銀行協会の笹島律夫会長(常陽銀行頭取)。「(融資先の)粉飾決算が最近、見られている」と話したうえで、関連する貸し倒れに備えた引当金が増えていると指摘した。「粉飾を見抜けなかったのは非常に恥ずかしい話だ」とも語った。

 地銀と協会のトップの言及は異例だが事実のようだ。企業倒産の統計からも粉飾増加の実態が裏付けられている。

融資先の粉飾決算に関する発言が相次いでいる
●2019年秋の決算会見などでの粉飾に関する主な地銀トップの発言
全国地方銀行協会の笹島会長(右)の「粉飾がみられる」という発言は様々な憶測を呼んだ(写真=共同通信)