政府は国内で販売される新型の乗用車に、衝突を回避する自動ブレーキの搭載を義務付ける方針を決めた。自動ブレーキは既に新車の8割以上に搭載されており、販売済みの車や性能の基準などが焦点となる。思わず生まれた巨大なチャンスに、関連業界からは歓迎と困惑の声が聞かれている。

(写真=時事)
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 国土交通省など政府は、国内で販売される乗用車の新車に自動ブレーキの搭載を義務化する方針を固めた。早ければ2020年1月に関連制度を改正する見通しで、21年中にも義務付けを目指すとしている。

 正式には「衝突被害軽減ブレーキ」と呼ばれる自動ブレーキの仕組みや性能はメーカーごとに異なる。ミリ波レーダーやカメラで前方車両や人物を検知。その情報をベースに衝突の危険があると判断するとブレーキが自動的に作動し、衝突を事前に回避したり事故時のダメージを軽減したりする。

 トヨタ自動車の「トヨタセーフティセンス」やSUBARUの「アイサイト」など、数年前は一部車種に限定されていた同ブレーキは今では各社が搭載を急いでおり、軽自動車でも標準搭載する車種が出始めている。18年に販売された新車のうち8割以上に自動ブレーキが搭載されているという。

既販車6000万台の対応は

 政府が義務化の中心に据えるのは新型車だが、注目されるのが販売済み車への対策だ。国内で約6000万台ある既販車で対策が進まなければ事故防止の効果は限定的になる。「(既販車を)義務化の対象に含めるかどうかはこれから議論する」(国土交通省自動車局)としている。

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