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東京証券取引所の市場区分を見直す議論が金融庁主導で進むが、内容は当初より後退してしまった印象だ。情報漏洩問題の影響を受けたほか、東証1部から外れそうな企業への“迎合”とも受け取れる内容が加わった。政府も日本経済活性化に向けた検討課題と位置づける改革だが、絡み合う利害を整理するのは簡単ではない。

(写真=アフロ)

 「議論が後退してしまっており失望している。これでは何も変わらない」。独立系投資信託運用会社、コモンズ投信の伊井哲朗社長はこう切って捨てる。

 10月から11月にかけて、東京証券取引所に4つある上場市場区分の見直しが、金融庁の金融審議会の作業部会で議論された。伊井社長があきれたのは、そこで討議された見直しの方向性についてだ。

 案では、現在の東証1部、2部、ジャスダック、マザーズという4市場を再編し、3つに分ける形が示されている。まず主に現在の1部上場の主要企業を中心とし、世界の投資マネーを集める「プライム市場」、それ以外の中堅企業で構成する「スタンダード市場」、新興企業が中心の「グロース市場」という3市場だ(それぞれ仮称)。

 2018年10月に東証が設置した市場関係者や有識者などからなる「市場構造の在り方等に関する懇談会」での議論を踏まえたもので、従来と基本路線はほぼ同じ。今回、「各市場の上下関係はなく並列であると見なすこと」「企業が自ら適切と考える市場区分を選べるようにすること」も検討するとした。