年間3000万人に及ぶインバウンド(訪日外国人)の人数が8、10月と前年割れし、成長鈍化が鮮明になってきた。日韓関係の悪化に加えてアジアに広く開放したビザの緩和効果が薄れ、人民元安も向かい風となる。「2020年に4000万人」という政府目標の達成は厳しい。数よりも1人当たり消費額を高めていく戦略が求められる。

ラグビーW杯開催も伸び率は鈍化
●訪日外国人数の前年比伸び率
注:2019年は1~10月の数値、JNTO調べ

 韓国の格安航空会社(LCC)、エアソウルが日本の12支店のうち半分の6支店で休業の準備を進めている。札幌や静岡などが対象で、地方空港を使った日韓往来が減り、運休が相次いでいるため。「各路線で運休が解除されれば、業務を再開する予定」(同社)というが、一貫してインバウンドを増やしてきた日本の戦略に冷や水を浴びせている。

 2003年に日本政府が「観光立国」を宣言して以降、訪日外国人数は15年間で6倍に増えた。12年から17年は毎年2~5割増と急増している。

 だが、直近の数字は変調が著しい。8月は前年同月比2.2%減と11カ月ぶりに前年実績を割り込んだ。日本政府が韓国への半導体材料の輸出管理を強化するという前月の発表を受けて韓国からの客が急減したのが主因だ。9月は持ち直したものの、10月は再び5.5%減っている。

 韓国は中国に次いで訪日客数が多く、18年は753万人と全体の24%を占めた。日韓関係が悪化する中でも7月まで月次の訪日客数は横ばい圏から1割減にとどまっていたが、8月以降は48%、58.1%、65.5%とそれぞれ大幅減。10月はラグビーワールドカップ(W杯)による来客増を打ち消した。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り794文字 / 全文1457文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「時事深層」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。